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とにかく将之(親友/姉上/他)

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パラレルです。影連が鬼にならなかったら。
保憲どのの誘いに応じて播磨へ出向して、ちょっと落ち着いた感じの影連どの。
晴明に紹介されて、ごく普通に将之と初対面したら。

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将之が晴明と親しくなってから、二年近くだろうか。
以前から良く晴明の話に登場する、とても優秀な兄弟子の「影連どの」が、任地の播磨から戻って来るらしい。師匠である陰陽頭の忠行どのの、ご子息である保憲どの。この方も晴明の話には良く登場するが、その保憲どのに付いて、播磨へ赴かれたのだそうだ。
それが、将之と知り合う三年くらい前だそうなので、もうかれこれ五年振りに会うらしい。文のやり取りはけっこう頻繁にしていたそうだが、実際に会えるとなるとまた話は別で、滅多にない傍目にも浮き浮きした様子の晴明が、なんだか微笑ましい。

きっと、とても格好良くなられているだろうな、とか、あちらでどのくらいすごい術を覚えられたのだろうか、とか、それに比べて自分はちゃんと、お会いしても恥ずかしくないくらい成長出来ているだろうか、とか、まるで恋する乙女のように、想いを馳せては百面相をしている。
晴明は将之よりも一つ歳上で、陰陽師という職務柄か、いつもは将之から見ると随分と冷静で淡々とした印象を受けるので、そんな晴明を見ているのは、正直面白かった。

一番に将之を紹介するから!最初はちょっと取っ付き難い印象の方だけど、本当はとても優しい方だから、将之もきっと好きになると思う。それに、私の親友である将之のことも、影連どのには好きになって頂きたいのだ。そう、にこにこと言った晴明が、あ・・・という表情で、何かを思い出したようにしばし固まった。
どうした?と問えば、困った顔。
いや、あの・・・。晴明には珍しく、視線を彷徨わせて逡巡している。
しばらく待つと、意を決したようにこちらを見た。

影連どのは橘影連とおっしゃって、橘家の生き残りなのだ。将之が都に戻った頃にはもう、橘家はほぼ無かったと思う。その経緯を知っているか?

晴明の表情で、なんとなく想像はついた。

詳しいことは知らん。でもきっと、藤原(うち)が追い出したんだな?

晴明が頷く。

謀反の嫌疑をかけられて、その抗議に一族で自害したと聞いている。影連どのはまだ幼くて、惨状に呆然としているところを助け出されたのだそうだ。

二十年くらい前かな。父上のさらに上の代だろうな。そんなことを考える。
祖父や大叔父が、そんな過激な性格だったと聞かされても、今更驚きはしない。
血を血で洗う争いは、いつも自分のすぐ近くで起きている。
幸い自分にはほとんど降りかからずに助かっているが、深淵を覗き込む気はない。
おそらく母上は、その深淵を覗いてしまって、あんな行動に出たのだろうと、今なら理解出来てしまう程に、そんな謀は日常茶飯事なのだから。

都におられた頃の影連どのは、とても荒れていらっしゃって。都や帝、藤原をはじめとする貴族が憎いとおっしゃっていた。それを心配した保憲どのか、気持ちを落ち着けようと、都から離すために播磨にお連れしたのだと思う。

ああ、なるほど。橘どのにとっては、自分はまさに政敵そのものだ。本隊に所属していると言っていい。
今のところ、父の右大臣が藤原では最高位。三人の兄は大納言と中納言。姉は中宮候補で、そのうちに皇子を成せばまさに、父と兄には摂政や関白の話が持ち上がるだろう。
自分も末席の四男ながら、左少将だ。今後中将になれば、あとは勝手に出世街道を走らされるのだろう。
自ら努力して手に入れるほどの興味はないが、与えられるものを拒否するほどの反発もない。
恵まれた状況だからこその、そんな考え方を、不愉快に思う人間がいるということは、一番歳の近い兄から、身を持って思い知らされてもいる。
恵まれているのだから悲観するつもりはないが、多少面倒だと思ってしまうことくらいは、許されるだろう。

別に良いよ。前にも、現役の鬼だって話したことがあるだろう?
自分に覚えのないことで、石を投げられることは、今でもたまにある。
初冠で都に戻ってしばらくは、その石に慣れるまでが大変だった。
何しろ高雄では、村人からも「若様」って呼ばれるような、お山の大将だったからな。
本当に石をぶつけられたこともある。自分では見えないが、今でも後頭部に痕が残ってる。
本物の石だったことにも驚いたし、けっこう血が出たことにも驚いた。
自分も相手もまだ子供だったから、俺はひたすらビックリしただけだったが、まあ、相手はきっとあの後すぐに、下手をしたら一族共々都におるまいな。
父上が、かなりお怒りだった覚えがあるよ。
もし今あいつが都に戻っていても、俺は顔も覚えていないし、きっとまた怒りをかうだろう。
そんなことのくり返しだ。今更そんな相手が増えても、気にはせん。
一度挨拶して、ダメだったらその後は会わなければ良いだけだ。
唯一、間にいるおまえが大変になるだけだ。
それに、俺のことはどうでもいいが。
問題なのは、影連どのの気持ちだろう?
自分を慕う可愛い弟弟子が、自分の気に入らないヤツと親しくしていたら、面白くないだろうからな。
だいたい、俺のことをどこまで話してあるんだ?

将之という名前と、猪少将とだけ。

ふーん。さすがに藤原とは書けなかったか。でも、それだけ知っていれば、藤原の左少将を割り出すのは簡単だな。
知ってるんじゃないか?頭の切れる方なんだろう?少将と親しくなったと書いて寄こしたら、きっと心配して調べるだろ。可愛い弟弟子の身の危険とか。

身の危険って・・・。晴明が苦笑する。
危険に巻き込んでいるのは、むしろ私だろう?
怨霊調伏とか、妖退治とか。

藤原に気に入られた陰陽師なんて、政争に巻き込まれるだけだって、心配するさ。橘どのは経験者なんだから。

そんな会話をしたのが一月程前で。
そろそろ影連どのが都に着く頃だろうか。
日に日に晴明の浮き浮きさが増しているようだった。







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前後編です。
タイトルに猪を付けるのが、自分の中で流行ってるみたいです(笑)。
まずは、将之さんの御曹司振りを中心に書いてみました。
会話に「」がないのは、なんとなくです。
読みにくかったらスミマセン。


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