スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←共に・・・ 参 →共に・・・ 伍
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


総もくじ  3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
  • 【共に・・・ 参】へ
  • 【共に・・・ 伍】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「晴将(長め/ちょっとあり)」
共に・・・

共に・・・ 四

 ←共に・・・ 参 →共に・・・ 伍
動かない俺に焦ったのか、首許の手が離れて頬に触れ、目尻の涙を指が拭う。
目を開けると、怒りよりは心配した表情。
「・・・大丈夫」
笑って言ったつもりだったが、声が掠れた。
「・・・・・・なぜ?」
目を見開いて、囁くような声だ。
「・・・?」
何が『なぜ』か分からずに、思わず瞬きをして見上げた。
「なぜ、怒らぬ?」
気難しげな表情。
「はは・・・。酒の席で、酔っ払いが、じゃれて縺れて、転んだだけだろう?怒るようなことではないよ」
長く息を吐いて、複雑そうな表情。この顔は晴明でも見ることあるな。困ったような表情だ。
「影連・・・起こしてくれ」
手を伸ばしてねだってみた。素直につかまれる手。
こちらからもつかみ返して、思い切り引いた。
「うっ・・・!」
俺の上に倒れ込む身体を、引いたのと反対側の腕で抱きとめ、拘束する。
「あっはっは。引っ掛かったな!酔っ払いってのは、こんなものだ」
「子供のようなことを・・・」
呆れた声が聞こえる。
「晴明の身体で、俺に害をなすのは出来んよ、影連。自分で引き込んだ居候に、好き勝手させるような、無能な宿主でないことは、あなたも知っているだろう?」
抱きしめたまま話しかける。
「ものすごい信頼だな」
密着してくぐもった声が、半分身体を通して響く。
「そうか?影連だって晴明に充分信頼されているだろう?自分の身体に一緒に棲まわせるなんて、滅多な相手には出来んよ。
それに、俺への本気の敵意があるなら、そもそもこうやって話せる状態にしないさ」
「・・・・・・」
「晴明は、あなたを楽しませたいんだ。だから、何をしていいんだよ、影連。ただ、まあいちおう、晴明が嫌がること以外なら。
これから何でも、したいことをしてみろよ。今夜は俺が相手で残念だろうが、気に入った相手と飲むのでもいいし、旨い物を食うのもいい。
女を口説くとか、笛が得意なら管弦の宴に参加してみるのでもいい。晴明を誘いたい奴は五万といるさ。
ついでに晴明を着せ替えて遊ぶんでもいい。人数が多いのは苦手なら、俺の伝手でも嫌でなければ、二人だけの宴を手配する」
胸の上で呆気にとられている気配がしていたが、俺は気にせずしゃべり続けた。
「春は花見、夏は蛍狩り、秋は月見に紅葉狩り、冬は雪見・・・。遠駆けするのもいいし、俺なら殴り合いでも付き合えるぞ」
「殴り合いとは色気がないな」
クツクツ笑いが胸許に響く。
身体を起こそうとする動きに、腕を緩めた。

上体を起こした影連は、仰向けに寝転がった俺に馬乗りになる形で、顔を覗き込んでくる。
「自分の状態が、いまいち分かっておらぬようだな」
「――?」
「この無防備さは、晴明に同情するよ」
顎をつかまれ、喉を反らされる。そのまま喉仏を甘噛みされた。
「ーっ、ぁっ」
なに、すんだっ!
びっくりして身を捩ったが、腰骨の辺りに体重をかけられていて、下肢の自由が利かない。
両手でぐいぐいと肩を押しやり、どうにか引き剥がした。息が上がる。
「はぁ・・・今度は、なん、だ?」
「酔っ払いの戯れ事だろう?」
なんでもない事のように、涼し気な顔が憎たらしい。
「・・・影連、おまえ首、好きだよなぁ」
最初に殺された時は、長い爪で喉を掻き切られた。
次は、晴明の身体で喉をつかみ上げられ、絞められた。
今もまた晴明の身体で、首をつかまれたし、喉に喰い付かれるし。
「首に執着でもあるのか?それとも趣味か」
敵を倒すのに、首を狙うのは悪くない。首は人間の急所だ。絞めても刺しても、絶命させられる。喉仏も男の急所だ。潰せばもがき苦しんで死ぬだろう。
戯れ事に戯言で返したつもりだったが、影連は少し考え込んでいるようだ。
「・・・そうかもしれぬ」
まさかの肯定をされた。
そういえば晴明も、手や糸で首を絞められたり、死なない程度に長い爪で喉を切られたり、喉に噛み付かれて蠱物を首に埋め込まれたりしていたな。
「・・・幼い頃見た、忘れえぬ死だ。父が小刀で首を突き、母は毒を含んで血を吐きながら、喉を押さえて倒れる様だ。屋敷中の者が皆、炎の中で喉に血を流していた」
あぁ、橘が一族で自害した時の・・・。
「なるほど。全く自覚はなかったが。私にとって、首は死の象徴なのだろうな」
昏い微笑。悪い事を思い出させてしまった。俺は何をやってるんだ、一体。
「すまない。不必要な事を言った」
肩を押していた手を放して、ぱたりと床の上に落とした。耳の横に投げ出した手は、降参の合図に見えるだろうか。
「あなたを楽しませたいと思う晴明に、俺も協力したいのに。俺は、あなたを不愉快にさせることしか、できないのかな・・・」
そんな、昏い微笑を浮かべさせたかったわけではないのに。
「いっそ、斬り刻んでみるか?それで多少でも気が晴れたり、楽しめるなら・・・。そこに俺の太刀がある。・・・藤原、嫌いだろう?」
自分で言ってて哀しくなってきた。藤原の名を、面倒だと思う事は多かったが、少なからず誇りに思っていた。
でもやはり、現役の鬼なのだろうな。こんなに嫌われるくらいには。
「・・・さすがに、殺される手前で、晴明が止めてくれると思うしな」
目を閉じて、心持ち顎を上げ、ため息と一緒に苦笑した。







----------

首に関しての将之さんの疑問は、はるかの意見なんですが、もしかしたら岩崎先生がお好きなのかなあ?
晴明サマも光弘兄につかまれてたしね。


関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
総もくじ  3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
  • 【共に・・・ 参】へ
  • 【共に・・・ 伍】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【共に・・・ 参】へ
  • 【共に・・・ 伍】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。