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総もくじ  3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
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「晴将(長め/ちょっとあり)」
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陰陽寮では、対人の体術は、基本的には教えない。
ただ、怨霊や妖魔の調伏等で危険なこともあるから、自分の身を守る護身術くらいは教えられる。
大掛かりな調伏では、武人や兵の同行される場合もあるが、呪詛の対象となっている貴族や、朝廷が討伐を確認するのが目的で、手駒である陰陽師を守ってくれるわけではないからな。
影連どのが体術の訓練をしているところは見たことがないが、書物は読まれていた。頭の良い方だから、一度読んだ物はすぐ理解されるし、たまに戯れ半分に実践相手にされた。
同じ書物を読んでも、私が疑問に思って訊くと、答えてくださった。他にも私が分からないことは、大抵ご存知でいらっしゃった。
本当に聡明で、努力家で、でもそれに驕ることなく、謙虚というか、心をあまり開かない内向的な方だった。
私は、幼いころからあるこの力のせいで、その、いろいろあったから・・・。
まあ、焔のような感じだな。自分で力を制御出来なかった。私の場合は風の力だ。感情が昂って、それが相手に向かうと吹っ飛ばしてしまったり。それをまた、恐れられる。その後は、遠巻きにされるか、より攻撃を受けるか、どちらかだ。
なので師匠のもとに来た時には、私はそこそこに喧嘩の経験があった。さらに、師匠の元ではそういった力を見慣れている者が多かったから、遠巻きにはされなかった。そうすると、子供同士は単純に喧嘩になる。そこでその力を発してしまうと、卑怯だと言われてしまう。
そんな私を見かねたのか、影連どのから体術やら武術やらの書物を勧められた。
本格的に陰陽師の修行を始めて、力も抑えられるようになり、人を相手にする時には拳だけで対応出来るようになって、だいぶ気が楽になった。
今でも、制御出来ない程我を忘れていたり、気を抜いていたりする時に、力が溢れてしまう時がある。方術で適切な方向を与えないと、ただ風となって出てしまう。
多分、将之が『殺気』と感じ取ったのは、それなのだと思う。
私が将之を殺したいわけがない。でも、溢れる『気』が武人に『殺気』と捉えられてしまうなら、ますます気を付けなくてはいけないと思ったよ。
殺気に反応する武人が激しく強いことは、今思い知ったからな。何より自分の身が危ない。

腕を引いて、晴明を起こす。途中、抵抗するように力を込められたが、そのまま力任せに引き起こした。
少し不満そうだったのへ
「自分でやったことをやり返されるほど間抜けじゃないさ」
と笑ってやった。
手を引いたまま、先程まで二人で座っていた、盃の転がった酒席へ促す。
すれ違う時に、抱きしめられた。
「晴明?」
「私は怒っているんだ、将之。先ほどの、影連どのへのあの台詞はなんだ。結果的に影連どのが相手にされなかったから良かったものの、そうでなかったらどうしていたのだ。考えなしにも程が過ぎる」
「・・・あぁ。悪い。確かに軽率だった。それに影連にも無礼だったな。申し訳ない」
抱きしめ返して、晴明の肩に顔を伏せる。
「嫌われていると思ったら、なんとしても、少しでも良く思われたいと思ってしまったのだ。本当に単純で馬鹿だよな」
「影連どのもおっしゃったが、嫌われてはいない。おまえが陰陽師を大嫌いで、私と親しくなってもそれは変わらないのに、それでも私を嫌いではないのと同じだよ」
「うん。でも、『嫌われていない』じゃなくて、好かれたいんだ、俺は。晴明が好きな相手のことは、俺も好きになりたいし、俺も好かれたい」
ふう、と晴明が息を吐く。
「本当に、おまえは真直ぐで明快だなぁ」
「それだけが取り柄だ。まあ、単純過ぎてさっきみたいに直接的過ぎることも多いがな。
でも、晴明だって、俺の父上や姉上に好かれたいと思うだろう?右大臣だとか帝の寵姫とかそんなの関係なく、俺の父と姉だからこそ、良く思われたいと思ってくれるだろう?その父上と姉上に、例えば陰陽師が嫌いだと言われたら、哀しくならないか?今更陰陽師をやめるわけにもいかないし、だったら失せ物を探すとか、呪詛を返すとか、何か自分に出来ることで、役に立って好かれたいと、そう思わないか?」
「・・・私も、おまえのように真直ぐにそう伝えればよかったのだろうなぁ。影連どのが好きだと。好きだから傍に居たいし、役に立ちたいと。憎しみや怨みに心を砕くのではなく、私のことをもっと考えて欲しいと。復讐なんて考えられなくなるくらい、ご自分の幸せや私のことで心を満たして欲しいと・・・」
きつく抱きついて、晴明がくぐもった声で続けた。







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晴明サマのモノローグ、もうしばらく続きます。
今更ですが、全十話です。


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