スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←七十五日の瓢箪と駒   弐 →七十五日の瓢箪と駒   四
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


総もくじ  3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
  • 【七十五日の瓢箪と駒   弐】へ
  • 【七十五日の瓢箪と駒   四】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「晴将(長め/ちょっとあり)」
七十五日の瓢箪と駒

七十五日の瓢箪と駒 参

 ←七十五日の瓢箪と駒   弐 →七十五日の瓢箪と駒   四
晴明の館の前で、成彬とは別れた。
将之に担がれた晴明を見て、藤哉が慌てて出て来たが、寝ているだけだと安心させる。
床の用意をする藤哉の横で、晴明の上着を脱がせながら、寝不足の原因を聞いてみた。
「ここのところ受けた依頼が、どれも大変みたいなんです。遅くまで呪法や祈祷をされて、その後は書を読まれて調べ事をされて。その合間に出仕されてるような感じで・・・」
「そっか。根を詰め過ぎなんだろうな」
「はい」
整えた床に横たえて、脱がせた袿を掛けてやる。
大内裏から牛車で移動して、さらに床に入れても全く起きる気配を見せない晴明に、将之は苦笑した。
「この様子じゃ、朝まで起きないだろうな」
「そうですね」
「ここに、銀が届く手筈になってるんだ。着いたら帰るよ」
「はい。ありがとうございました」
藤哉はそう言って退出した。

残された将之は、晴明のいつもより白く見える顔を眺めながら、先程の噂について思案する。
大切な友だと思っている晴明が、あんな風に自分のせいで、下世話な噂の的にされるのは嫌だ。将之を間抜けと揶揄するならともかく、晴明が誑かしているなどと、悪く言われるのは我慢ならない。
だからといって、自分は今のこの、変に気を遣わなくて良い、気安い関係が気に入っているのだ。今更、身分相応な対応に戻すのも嫌だ。
・・・つまり自分は、我儘なんだな。そう思って、ため息が出た。
そんなに大きなため息を吐いたつもりはなかったが、晴明の目がぱちりと開いて、朝まで起きないと思っていた将之は、驚いて息を飲む。
「・・・将之?」
呼ばれて、
「ああ」
どうにか返事をする。
「私は、別に気にしない」
急に言われて、思考が追い付かない。
「晴明?」
「シゲアキどのの言うことは正しいよ」
「おまえっ、聞いてたのか?」
「なんとなく。途切れ途切れに聞こえてた」
「・・・すまん」
「別に、将之が悪いわけではないさ」
「だけど!俺が、嫌だ」
「将之の、そういうところが、私は好きだよ」
「晴明・・・。俺だって、晴明のことは好きだ。だからこそ、悪く言われるのは悔しい」
「噂など、どうでもいい。別に今更・・・減るもんじゃないし」
自嘲するように嗤う晴明に、将之はたまらなくなる。
「晴明!なんでそんな・・・」
「だから、シゲアキどのは正しい。師匠との噂も、当時聞いたことがある。意味は分かったが、特に何も思わなかった。私は、自分の容姿を、ちゃんと自覚しているよ。見目麗しくて、嫉妬をかうと。鬼面を付けるほどではないがね」
茶化すように言って、晴明が微笑う。つられたように、将之も苦笑した。
「・・・そういうことを、自分で言うなよ」
「将之こそ、身分は勿論、自分の見た目がそう悪くないことを、もう少し自覚した方がいいんじゃないか?ただでさえ鈍感なのに」
はぁ、と将之が呆れた息を吐く。
「よく言うよ」
晴明の手が伸びて、将之の袖をつかむ。
「私は別に、噂が本当になっても構わない」
将之の目を真っ直ぐに見て、真剣な瞳で晴明が告げる。
「せっい、めいっ!?」
面白いくらいひっくり返った将之の声に、
「ぷはっ」
晴明は吹き出した。
「おーまーえーはー!!」
揶揄われたと思った将之が、思い切り晴明の手を払う。
払い落とされた晴明の白い手が、勢い良く床板に当たって、思いの外大きな音を立てた。
「ーっ」
払い退けられた手よりも、その拒絶に胸が痛んで、思わず息を飲む。
「あ、悪い」
手が痛いと思った将之が、拾い上げるように掌をつかんで、床板に当たった甲を撫でた。
つかまれた部分も、撫でられた部分も。
将之の体温が熱くて、その熱に痛みが溶ける気がした。







----------

内容的にはほぼ相違ありませんが、ラストの十行くらいが違います。
次回も内容はほぼ同じです。その次から変わります。


関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
総もくじ  3kaku_s_L.png 晴将(長め/ちょっとあり)
  • 【七十五日の瓢箪と駒   弐】へ
  • 【七十五日の瓢箪と駒   四】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【七十五日の瓢箪と駒   弐】へ
  • 【七十五日の瓢箪と駒   四】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。