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「晴将(長め/ちょっとあり)」
七十五日の瓢箪と駒

七十五日の瓢箪と駒 伍

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翌日、出仕した将之は、勤務後に成彬を誘った。
「成彬。昨日はありがとう。続けてで悪いんだが、頼みがあるんだ」
左近衛府を出て、中庭の人気のない場所まで引っ張って行く。
「どうした?将之。頼みとはなんだ?」
「噂を流して欲しい。昨日聞いたのと逆の」
「逆?」
「うん。晴明が左少将を誑かしているんじゃなくて、俺が執心しているのだと。強く逆らえない陰陽師どのが気の毒だ、といった感じに」
将之にとっては、そちらの方がまだ真実に近い。晴明に誑かされて、自分の「少将」や「藤原」の部分を、利用された事などないのだから。
どちらかと言えば、将之が晴明を気に入って纏わり付いて、怨霊退治とかに付いて行ってるのに。
「おい、将之」
驚いて成彬が将之を見る。
「俺に今まで決まった相手がいなかったのも、昨日公然でお持ち帰りしたのも、おまえなら上手く使って流せるだろう?」
「そんなことをして、どうするつもりだ」
「そんなの、ただの自己満足だ。逆なら俺は嫌な気分にならない。俺が勝手に晴明を好きなことには、違いないからな」
「大事な友を貶める噂を聞いて、おまえが気分を害したのなら。私にとって大事な友である将之の、悪い噂を自ら流す私には、何の得があるんだい?」
少し怒ったように、成彬が言う。
「成彬。ありがとう。でも、ごめん。俺の我儘を聞いてもらえないだろうか」
将之の真摯な頼みに、成彬はため息を吐いた。
「余計なことを、教えなければ良かった・・・」
「俺は、教えてもらって良かった。成彬が言ったように、勝手に言われてるだけじゃなく、自分で対策を考えられる」
「分かった。私が知らせたのだ。おまえに協力しよう。ただ、ひとつ条件がある」
「条件?俺に出来ることなら、なんでも」
「おまえじゃなきゃダメなことだ。・・・いいか、その噂は、おまえが男好きだってことになるんだ」
「うん」
「しかも、男相手には、強引だってことになる」
「うん」
「だったら、今ここで、私に強引に接吻をしてみせろ」
「えぇっ?!」
目を見開いて驚く将之に、成彬は苦笑した。
「驚いている場合か。ここは人気がないが、それでも誰の目があるか分からない。噂になるにはちょうどいいだろう?」
「でも、それじゃあ・・・。今度は成彬に迷惑がかかるじゃないか」
困った顔をする将之を、成彬は好ましいと思う。自分もちゃんと、大切にされている。
「大丈夫だ。私の女性に対する浮名は、たった一回の男との噂くらいで、消し飛ぶ程度のものじゃないさ」
「・・・成彬は、俺とそんなの。嫌じゃないのか?」
「嫌なら言い出さぬよ。幸い、おまえは私より上背もあるし体格も良い。ほら、この木の幹にでも、強引に押し付ける感じで、やってみろ」
将之は、木と成彬を見比べて戸惑っている。
「私はおまえが好きだよ、将之。いろんな意味で。そのおまえと、晴明どのの間を取り持つような、協力をするのだから。そのくらいの役得があってもいいだろう?」
笑っている成彬の、それでもふざけているわけではない真摯な瞳を見て、逡巡していた将之は腹を決めた。
「・・・分かった」
真剣な表情をして、そう答える。
言われた通り、少し乱暴に成彬を抱きしめて、背後の木に身体を抑え付ける。
顎をつかんで噛み付くように接吻ける。
思っていたよりも様になっている接吻に、弟の成長を喜ぶ気持ちにも似て、成彬は薄く笑んだ。

中庭の、人気のない場所。茂みに囲まれたここは、近くには確かに人がいなくて密談にはいいが、外から姿が全く見えないわけではない。
少し高い場所からなら、なんなく見えるだろう。
将之は建物を背にしていて気付かないだろうが、薄っすらと目を開いた成彬からは、将之の肩越しに渡殿の一部が見える。
先ほどから、たまに人が通るようだ。噂の目撃者となる人物を見極めようと、目を細めた成彬に、去り行く銀糸が見えた気がした。







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はい。やっと、違う内容になりました。
次回は晴明さんのグルグルです。


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