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「晴将(長め/ちょっとあり)」
七十五日の瓢箪と駒

七十五日の瓢箪と駒 六

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昨夜ゆっくりと寝てすっきりした頭で、今日も晴明は参内していた。
本来ならば宮中に参内出来ない身分の晴明が、それなりの頻度で内裏に出入りしているのは、怪異が苦手な帝からのお召しであることが多い。その場合のほとんどは、陰陽頭を勤める師匠の忠行と同行する。
稀に、昭陽舎の女御で帝の寵姫である彩子に呼ばれたり、都の治安に関わる事態であれば、左右の近衛府から依頼されることもある。その場合は、彩子の弟であり左近衛府少将の将之と同行することが多い。
ここ数日は、忠行の供であった。

渡殿から、ふと中庭を見ると将之がいた。傍には友人だろうか。将之と同じ濃色の上着を纏っている。
宮中に参内する際には、決められた装いがあり、着ている上着の色や形で身分が分かる。
一人では参内さえ出来ない晴明はもとより、陰陽寮の長官である忠行よりも、将之は上の位にある。
昨日も将之が同色の集団といるところを見かけたが、その身分の高さであれば、やはり左近衛府の同僚か貴族の友人というところだろう。
それなりに離れた場所なので、知っている人物でなければいまいち顔の判別は付かない。ただ、なんとなく見覚えがある気がしてよく見ると、傍らの人物は、ちょうど昨日も見た顔であった。晴明に駆け寄った将之の後ろから、晴明を睨んでいた友人である。
昨日は、自分達と話していた将之が、私の処へ行ってしまったから睨まれたのかと思ったが。あんな噂があるなら仕方ないことだ。
将之が晴明のために怒ってくれたように、将之の友人達からしたら、自分の存在は全く面白くないに違いない。
なんともなしに眺めていたら、将之がその友人に接吻けをした・・・ように、晴明には見えた。
息が止まるほどビックリして、慌ててその場を立ち去る。
心の臓がばくばくと破裂しそうに打ち鳴り止まず、苦しい。

自分の館に着いて、ようやく晴明は一息吐いた。
何処をどうやって帰って来たかはいまいち良く覚えていないが、ひとまず師匠や回りの公達に失礼はしなかっただろう。きちんと挨拶をして帰って来たはずだ。
参内用の上着を脱いで、室内着に着替える。
自分では平静にしているつもりなのに、目の前に見える見慣れた光景が、まるで遠くの事のようにふわふわして感じられる。
こんなに時間が経っているのに、心の臓の緊張感は取れない。
香を焚いて、深呼吸をくり返す。
こんなところを鬼にでも襲われたら、ひとたまりも無いな。
そんな風に思考を逸らしてみたが、効果はなかった。

自分が、将之のあんな場面を見て、こんなに動揺するとは思わなかった。
いや、そんなことはない。充分知っていたはずだ。
好きなのだから、当たり前なのだ。
ただ、好きの種類が、将之が晴明に向けるものとは少し違うだけで。
だから、知らない振りをしていただけで。
晴明の好きは、動揺して良い好きなのだから。
将之は、あの男が好きなのだろうか。いや、好きなのだろう。
でなければ、あの将之が、あんなことをしないはずだ。
晴明が将之を想うのと同じ好きで、きっと将之はあの男が好きなのだ。
知らなかった。そもそも、そんな存在がいる事を。
ああ、だから。昨日、あの男に睨まれたのか。
自分達と話していたのに、将之が私の処へ行ってしまったから。
その後も私が送ってもらったのだから、昨日はあそこで分かれたことになる。
しかも、あの噂。
将之から好かれているあの男にしたら、全く面白くないに違いない。
では、今日のあれは、埋め合わせのご機嫌取りだったのかもしれないな。

ああ。それでは、昨日のあれはまずかったかもしれない。
あの声のひっくり返りようは、将之が自分を全くそう想ってないと、白状されているようなものだ。
友人の多い将之が、私を親友という特別な位置に置いてくれているから、なんだか勘違いをしてしまいそうになる。
将之の近くに、私が居られる場所があるなら、それで良いのだ。
その関係の名前が何で、どんな場所であれ。
将之が「親友」と名前を付けて、用意してくれた場所であるなら、それだけで充分なのに。
実際には、遠過ぎて顔が良く見えなくても。周りからは、みすぼらしい汚い小屋に見えても。座っているムシロが、針で出来ていても。
身分の違いは知っている。将之本人が気にしないから、こんなに近付いてしまっただけだ。
将之という太陽の、光が届く場所であれば、それでいい。
その陽があたる場所であれば。







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将之さんはグルグルとグダグダしているのは似合いませんが、晴明サマはグルグル、グダグダしてるの似合いますよね(苦笑)。
原作は、晴明サマが主人公だけど、はるかの頭の中は将之さんを中心に回っているので、そこでは、やっぱり晴明サマは異端だと思うのです。


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