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「晴将(長め/ちょっとあり)」
七十五日の瓢箪と駒

七十五日の瓢箪と駒 拾

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不満顔から、また真剣な表情に戻って、将之が続ける。
「あと、それから・・・」
言い難そうに一度言葉を切って、
「『ご執心』の噂に信憑性を持たせるためにって、成彬との噂も流したんだ。それで、その・・・」
上目遣いに伺う将之に、平常心を保ちながら、晴明は無言で先を促した。
「成彬が、晴明に現場を見られたかもって・・・」
「現場?」
「宮中の中庭の。人目があるかもしれない場所で。わざと、成彬と、接吻した、んだ・・・」
言いながら、徐々に赤面してゆく将之に、晴明はしばし混乱した。

シゲアキとは、牛車の中で将之に忠告していた、あの友人だ。
あの時、半分眠っていた晴明は、確かに声は聞いたけれど、シゲアキの姿は見なかった。
けれど、途切れ途切れに聞こえて来た彼の意見は、至極真っ当だと晴明は思ったのだ。そんな友人が将之の傍にいることに、少し安心したりもした。
晴明には手出しの出来ない、もっと宮中の上流で、藤原に対する妬みや嫉みを基にした、悪い噂や悪意をいろいろ向けられるのであろう将之を、気に掛けてくれている男に思えたから。
それがあの、自分を睨み付けていた男で、しかも、あの中庭の、相手とは・・・。
いや、睨んでいたのは仕方ない。晴明が思った通り、将之を気付かってくれる男なら、悪い噂の相手である、晴明を面白くないと思っていただろうから。
でも、中庭のあれは・・・。
噂を流すため?本当に?

「わざとって、噂のために・・・?」
「うん。『左少将がご執心』ってするには『左少将は男好き』って噂も一緒に流れた方が良いって言うから。成彬は、俺をいろんな意味で好きだから、晴明との噂のために協力するなら、そのくらいの役得は。とか言ってたけど、絶対揶揄われたんだと思う」
いや違う。それは絶対、役得という気持ちが正しいのであって、揶揄われたわけではないだろう、と晴明は確信出来る。
「ちょっと待て、将之。私は牛車の中で声を聞いたシゲアキどのと、渡殿から見えた中庭でおまえといた人物が、同一人物だと思っていなかった。見たのと聞いたのとでは印象がひどく違って、シゲアキどのがどんな人物なのか、見当がつかない」
「そうなのか?」
「最初、あの送ってもらった日、私に駆け寄って来た将之の後ろで、私を睨んでいた。その時は、自分達と話していたおまえが行ってしまったので、面白くないのだろうと思った。翌日、渡殿から中庭でおまえといるのが見えた。なんとなく眺めていたら、将之から接吻けたように見えて、驚いて帰って来たんだ。だから、おまえの恋人なのだろうと思った。恋人なら、噂のこともあるし、さぞかし自分のことは気に入らないだろうと思った。睨まれて当然だと。そう納得するのと同時に、将之は私を親友だと言ってくれるのに、恋人いる事を知らなかったのが、悔しかった。親友だからこそ、恋人が男なのを言い難かったのかもしれないとも思ったが。とにかく、私にとっては大混乱だった」
一気にしゃべった晴明を、将之が驚いて見る。
「逆に、牛車の中で声を聞いたシゲアキどのは、前にも言ったが、正しいことを言っていると思った。声も落ち着きがあって、大人の男だと思えた。将之を可愛がっているのも分かったし、だからこそ心配していることも伝わって来た。嫉妬のような感じは受けなかった。見た場面が悪かったのだろうが、見ると聞くでは私にとっての印象は大違いだ。将之にとっては、一体どういった方なのだ?」
晴明から成彬の印象を聞かされて、うーん、と将之が唸る。
「成彬が睨んでいたのは知らなかったけど。中庭のはわざとしたことだから。恋人じゃ無いし。晴明が見た印象のは、違うよ。聞いた印象の方が合ってる。成彬は在原氏で、今のところ俺と同じ左少将だけど、歳も位も俺より上だから、確かに落ち着いてるし、頭も良い。口が悪いけど、結構面倒見が良いからみなに好かれてる。女性にもモテるから、男友達に引っ張り回されてた俺と違って、あっちこっちの女房や姫君から、お誘いされてたらしい。あと、確かに目を掛けてもらってると思う。すぐ揶揄われるけど。すごく良いヤツだよ。同輩の友っていうより、頼れる兄貴分って感じかな」
「そうか。・・・恋人じゃないのか」
ほうけたように、晴明がため息を吐いた。
「ごめん。やっぱりもっと早く顔を見に来れば良かったな。見られてると思ってなかったから。噂を聞いただけなら笑い飛ばせても、見ちまったらそうはいかないもんなぁ。無駄なことで悩ませて、本当にすまなかったよ」
申し訳なさそうに苦笑して、もう一度将之が謝った。
「いや、それは、将之も大変だったのだし、そもそも私の噂を消そうとしてくれたのだから。こちらこそ、私のことでそんなに手間を掛けさせて、悪かったな」
「いいんだ。当の本人であるおまえは気にしないと言ったのに、俺が嫌で、勝手にやったんだから」
そう言って笑った将之に、晴明はいろいろな意味で安堵した。







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どうにか終わる目処がついて、連載再開です。
とりあえず、恋人疑惑が消えて、安堵の晴明サマ。
でも、今度はまた別のグルグルが発生しますよね、ええ。
将之さんも、いちおうミッションコンプリートなんだけど、当然グルグルに巻き込まれますね、はい。


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